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・・・・・・・・・いない
当然か
秘書課まで
エスコートしてくれた
息子の親友を
コーヒーも出さずに
帰す筈がない
分かっているのに
梶川の姿がないことに
気落ちしている
ヤバいな、俺
梶川依存症に
罹っているのかもしれない
アイツの
重荷となってしまう前に
少し距離を置くことも
考えよう
「おはようございます。企画の新人をお連れしましたー」
は?
賑やかに入室してきたのは
秘書課の女性
「格好いいでしょう
葵さんのご子息の親友なのよ。ね? 真人さん」
ツンと
シャープな顎を上げ
梶川を
『真人さん』
見上げた女性の隣に
梶川はいない
何故なら
険しい表情をして
俺の前に立っているから
「栄一さん。どうされたんですか」
え?
ええっ?
職場で『栄一さん』
名を呼ばれ
俺の頬に触れてくるとは
予想もしてなかった
「な、なななにが?」
動揺のあまり
『何が?』
簡単な単語さえ
口に出来ない俺を見下ろす
梶川の顔が
険しくなりすぎて怖い
「相手は誰です。誰に泣かされたのか教えて下さい」
誰にって
・・・・・・・・・・・・・・・お前。
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