第三章

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「大袈裟なヤツ。笑っただけだって、な、桜田」 ・・・・・・いや、あの 『な』で、ポン 俺の肩に置かれた 梶川の 手に手を重ねた岩田が 「何なの、お前」 コイツを 睨みたくなる気持ちは わかる 「部長が紹介する予定の新入社員、よろしく頼むな? 岩田」 分かるけどお願い 初日だから 海のようにひろーい心で コイツを 受け入れてやってくれ 「申し上げにくいのですが、興味のないあなたに手を重ねられ不快な思いをしてます。放して頂けますか」 「ああ?! テメェが桜田の肩に手を置いたせいだろうが」 「肩につくゴミを払おうとしただけです」 「俺がゴミだとでも言いてぇのか」 「自己評価の低い方ですね。あなたはご自分をゴミと認識されてるのですか」 「してねーわッ!」 「おい、止めろってお前ら、少し落ち着け」 頼むから オッサンを挟んで 喧嘩するな 助けを求めて 視線を動かした先に いた! 救世主の瞭ちゃん 木山部長の腕に手を添え 俺の方へと 連れてきてくれた 「紹介する」 腹に響く低い声に ビシッと伸びる背筋 たった一言で 騒ぎを静めた木山部長が ぽん 梶川の肩を叩いて 「桜田の犬だ。飼い主に忠実な奴でな、コイツの前で桜田に近付く時は注意しろ。咬みつかれるぞ」 ニヤリと笑った
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