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「残念です。もう少し情報が早ければ惜しい人をなくさずにすんだのに」
くすくす
企画フロアに笑い声が
満ちていく
「遅くても元気にしてますよ。俺は」
どっと笑いが溢れた
木山部長のパスを
受け取った伊藤さんの機転で
なごやかな雰囲気で
梶川の
紹介が終わった
『桜田を守ろうとする真人くんの態度が悪くても、困らないようにしてあげて下さい』
俺の頭の中を
覗き見たかのような
瞭ちゃんのお願いを
梶川を
『桜田の犬』
紹介することで
手品のように
叶えた木山部長を尊敬する
(頼んでくれてありがとう、瞭ちゃん!)
瞭ちゃんへと
駆け寄ろうとして
肌を突き刺すような
視線に気付いた
振り返った先にいたのは
梶川を
案内してきてくれた
秘書課の女性
きつい目をした彼女の
じろじろと
俺の顔を眺める
不躾な視線は気になるけど
企画部の主任として
挨拶もせず
彼女を帰してしまうような
真似は出来ない
フン!
面白くなさそうに
背を向け
企画フロアを後にして
エレベーターの
ボタンを押す彼女の
前に回って
「すみません。梶川がお世話になりました」
頭を下げた
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