第三章

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自分では 不快な臭いを嗅ぎ取れない けど 梶川に臭いと 思われるのが辛くて 取ってしまった行動を 「誰の視線を気にしたのか、お尋ねしたいですね」 誤解した梶川の 嫉妬の滲む声に顔を上げた 「これは、その  違っ、くて」 俺が気にしたのは お前の反応だけ 言えば じゃあ、なに? 説明を求められそうで ただだだ 首を横に振り続ける 好きな人を 不安にさせてしまう自分の 不甲斐なさと 自信を持てない 切なさで 泣いてしまいそうだ 「すみません。嫉妬に目が霞んでしまい、言い過ぎてしまったようです」 うわあ?! 素早く身を屈めた梶川の ドアップは 柔らかな感触を残して 離れていく 「おおおおおおまっ、 ここ、どこだと」 「自社ビルの中」 いや、そうだけど 焦りまくる俺の手を 握った梶川の 長い指が俺の指に絡んだ 「帰りましょう。ロンが首を長くして俺たちの帰宅を待ってます」 カァッと 赤く染まった顔を俯けて ・・・・・・・・・うん 返事の代わりに 梶川の手を 強く握り返した
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