第三章

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鍛えていたつもりの体は 梶川の前では 思春期の少年のよう ソファーの上で 梶川の太腿を跨ぎ 座らされた俺の 梶川と 勝負にならない肉体が 恥ずかしくて 肩から 滑り落ちていくYシャツを 思わず掴んだ 「可愛い反応ばかりするのは、俺の自制心を壊すためですか」 違う! シャツを掴んだ俺の 手の甲を撫でる 梶川の優しい指と裏腹な 獰猛に光る眼 この眼に見つめられただけで 息があがって 肌が火照っていく 「辛いですね、綺麗な顔を背けられるのは」 「綺麗なんかじゃないし」 「あなたはご自分の顔を見れないからそう仰るだけです。 薄く染まる肌は美しく、潤んだ瞳は日の光を浴びて輝く湖面のように揺れて蠱惑的 唇から漏れる喘ぎは小鳥の囀りのよう 美しい人、あなたの魅力に虜になった男から顔を背けないで下さいませんか」 沸点を超えた脳が ぐつぐつ 煮込まれて噴火しそう 背けただけでは足りず 赤くなった顔を 両手で覆う俺の胸に 堅いヒゲがあたった 「あ・・・・・・っ、そこ だっ、め」 中途半端に脱いだシャツに 不自由を 強いられるとは 予想していなかった
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