第四章

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パソコンの マウスを握る手が ガタガタ震えていることを 悟られないよう 小さく 深呼吸を繰り返して ごめん ごめん ごめん 項垂れた瞭ちゃんが 立ち去るのを待った ・・・・・・気持ち悪い いやな汗で べっとり濡れた手を トイレで洗おう 「待って下さい栄一さん」 木山部長と 外回りに出掛ける前に 俺へと 「栄一さん、愚かな俺はあなたを傷付ける行為をしたり、言ったりしてしまったのでしょうか」 伸ばされた手を 「10才も年下の弟みたいな存在のお前に、いつまでも飯の世話されるのは変だと俺が反省しただけ」 拒絶した 自分の青ざめた顔を映す 怒りを宿す 青みがかった瞳から 逃げるように 背を向け歩く 「弟のようだと思いたければどうぞ。ですが、俺の栄一さんを好きな気持ちは変わりません」 う・・・・・・っ、梶川ぁ ぽろぽろ 流れる涙を止められない 嗚咽を 漏らしてしまわないよう 口を手で塞いで トイレの個室に駆け込んだ 好き 想いが胸の中で 大きく膨らんでも 俺と アイツでは釣り合わない 『知ってます? 王子がブログを更新したことぉ』 『ブログ?』 頻繁に企画フロアを 訪れて 梶川にアプローチする 秘書課彼女に 呼び止められたのは 瞭ちゃんたちと 参加した飲み会の翌日
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