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婚約中の二人を
邪魔する
身の程知らずの不届き者
他部署での
俺の評価は最悪
Y社から
俺を追放しようと
署名を集めた上で
木山本部長に直訴する
息巻く連中まで
存在するという
『そこで一つ提案があります。
私と食事をすることでぇ、二人の邪魔はしてないってアピールするのが一番簡単だしぃ
おじさんの矯正にもなると思うの、どう?』
誰の手を借りたとしても
梶川を
初めて愛した男を
忘れることなど出来ない
それでも
考えた末に
宇津木さんの提案を
承諾したのは
アイツと同じ空気を
吸っていたかったからだ
「昼休憩に行ってきます」
企画フロアを出て
ぽつん
一人で座っていた食堂に
「相席いい?」
現れたのは
宇津木さんではなく
「あのさ、俺、お前が傷つくこと、言ったのかな」
・・・・・・瞭ちゃん
嘘など吐けない
正直で
真っ直ぐな茶色の瞳に
“心配”
の文字を
浮かび上がらせた彼に
抱きついて
泣いてしまいそうだ
「・・・・・・瞭ちゃんは悪くない
ごめん 俺が
勝手に、傷付いてるだけ」
静かに
肩に置かれた手には
俺への
思い遣りで溢れていて
「一人で悩むなよ。親友だろう?」
ひび割れた心に
やわらかで
温かな水を注ぐ力があった
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