第四章

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「大変でしょう? ネット炎上起こす人の世話するのって」 遅れて食堂に現れた 秘書課の 宇津木遥香さん は? 口をポカンと開け マジマジと 彼女を見返していた 瞭ちゃんの眉が寄っていく 「撫子ったら、気付いてないの。食堂内の雰囲気に」 ごめん、瞭ちゃん (キモい) (パワハラ) (不気味なオッサン) 耳を澄まさなくても あちこちから 聞こえてくる嘲笑 恥ずかしさと 信じてもらえない 悲しみと 情けなさで震える俺の手を 「誤解だ。桜田はパワハラなんかしてない!」 ぎゅっ 握り締めてくれる 瞭ちゃんの手 誰かと 言い争いをしたことのない 綺麗な手が ガタガタ震えてる 「嘘じゃないわ。その証拠に 投稿してるもの。ブログやフェイスブックに、主任に抱擁を強要されて困ってる。彼女にも申し訳ないって」 「偽物だ。桜田に惚れ込んでる彼が、そんな投稿する筈がない」 参った 何をやってるんだ、俺は 繊細で 荒事に向かない 綺麗な親友が 俺のために闘ってるのに いつまでめそめそと 女々しく 泣いているつもりだ
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