第四章

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「はあ!? イヤだ。王子が可哀想。本部長の奥様が敵だから、ブログに投稿するしかなかったのね」 「それこそ侮辱だよ。真人くんは泣き寝入りするような弱い男じゃない」 そうだね、でも 「もういい」 もう平気だから 無理に 言い返す必要はないよ 瞭ちゃん 「は? 何がもういいの」 俺を映す 涙の膜を張らした 薄茶色の綺麗な瞳を 見返して微笑んだ 「誰に疑われても、信じてくれる友達がいるから頑張れる」 瞭ちゃんがいてくれるから 頑張れるよ、俺 ぽろっ 瞭ちゃんの頬を 流れ落ちていく涙を拭う 太く長い指 「綺麗だ。瞭の愛らしい笑顔に見惚れちまう」 木山部長の 腰にくる重低音に 頬が 赤く染まるのは 俺だけじゃないから 「その前に、おじさんはぁ、撫子とは違う生き物だという自覚を持ってくれるかなあ?」 唇の端を ピクピクさせて 睨んでくるのは止めろ 「どこが違うと仰るのでしょう」 ・・・・・・ヤバいな 梶川の 汗が伝う首筋の動きに ぽーっと 見惚れていた俺に 気付いたのだろう 頬を緩めた梶川の 男臭い 笑みに息をのんで カァァァァァ 火照った顔を 両手で覆い隠した
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