第四章

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梶川の冷淡な口調に 胸の奥が キュンと高鳴って苦しい 分かった とも答えられず 赤く燃え上がってる 顔を 両手で覆って俯いた 「大変だったらしいな。困った時は抱え込まずに相談しろよ」 犬を 追い払うような仕草で シッシッ 岩田とタイミングを 合わせ 近づいてきた梶川 「心配かけてごめん。偽ブログは閉鎖されたし、もう平気」 「平気じゃねぇだろう。このバカ犬のせいで」 いや、まあ、その そのバカ犬を 好きなものででして 「女子社員たちが大騒ぎだぜ。外回りから戻ってすぐ『企画はどうなってるの』問い質されちまった」 「俺を、守るためにしてくれたことだから」 「お前は・・・・・・、そうやって許すからバカ犬が調子づくんだ」 岩田の前に 踏み込ませた梶川の 長い脚 「失礼。虫が栄一さんに近付こうとしたもので」 額に浮いた血管を ピクピクさせて 「テッメェ・・・・・・」 梶川の 胸倉を掴もうとする 岩田を止めようと 浮かした腰から 「無用なご心配ありがとうございました。ですが、二度と後手に回りません。栄一さんに悲しい思いをさせず守ってみせます」 力が抜けきってしまった 『そうねぇ、顔がよすぎて眺めるだけで満足って女の子が多いから 告白の返事を『瞭ちゃんの体調が戻らないとその気になれない』って、保留するだけで、イライラする真人くんに同情する人が増えて、嫉妬の感情は激減すると思うわ』 斎藤さん 俺が瞭ちゃんの出勤を 待てないかも 梶川に触れたくて  『好きです。栄一さん』 触れて欲しくて 変になりそうだ
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