8.しそーのーろーが治ったら

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彼は毎朝コーヒーを飲むけれど朝食をとらない。 左腹部の人工肛門(ストーマ)の手入れが面倒なので、食事は極力避けるようにしているのだ。  適当にビタミン剤を流し込んでいるだけだから背丈ばかりが伸び、その身体は細い。 苦痛というものをほとんど感じなくなってしまった為、空腹すらも覚えないが。 とりあえず生きてさえいれば彼は一向に構わなかった、生きている実感を得ない日常で。
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