19.暗がりの中で

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 とにかくココからまた逃げなくちゃと、来夢はベッドから滑り出る。 二段ベッドが4つ、8人一部屋の間取りは、確かに微笑みの天使園の寝室だ。 夜中起き出してトイレへ行く子のために、蛍光灯脇の豆電球が常夜灯として点けられているのも同じである。  だがそのオレンジ色の薄明かりの下、いつも一緒に寝ている他の子供は一人も居ない。 薄暗い部屋の中、独りで居る事に恐怖を感じ、幼い少女は泣きそうな顔でドアへ向かってひた走る。 そして恐怖に顔を歪めたまま、ドアノブをがちゃがちゃと乱暴に回した。  
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