2344人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
『自分がいないところで彼女が自分のこと褒めてるって知ったら、許してくれるんじゃないかなーって思ったんだけどね』
旅行から帰った翌日の夜、電話で茉鈴ちゃんが言った。
あれは私のことを思ってついてくれた嘘だったんだ。
これが相手を思ってつく嘘。
同じ嘘でも私の嘘とは大違い。
『もう会えないの? あたしたち』
「……ごめん、しばらくは難しいかもしれない。もしバレたらって考えると」
『なんでそんなに結梨ちゃんのこと縛りつけるんだろう……』
「きっと寂しいんだよ、真さん。最近仕事の方もいろいろ大変で」
『……そっか。また連絡はするね』
「うん」
みんなの連絡先を消すことはできなかった。
それくらいは、真さんも許してくれるはず。
最初のコメントを投稿しよう!