-Prologue-

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 家のドアを開けると、私の帰りを待っていたかのように廊下の電気が自動でついた。  廊下を進んだ先にあるのは暗いリビング。  鞄を無造作に置き、その場にしゃがみこんだ。  床にポタポタと滴が落ちる。  それは、訳もなく溢れる私の涙。  表情を変えることも、声を出すこともせず、ただただ涙が枯れるのを待つ。  こんなに涙が流れるのはどうしてなんだろう?  ついさっきまで、温かさに包まれていたのに。  彼がぎゅっと抱きしめていてくれたのに。  ……寂しい。  …………寂しいよ。  心の中でそう呟いた。
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