瞬間-toki-

2/39
2344人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
 オフィスで私はひたすらパソコン画面とにらめっこ。 「まだ終わってないのか、南澤」 「すみません」 「いつまでかかってるんだ」 「すぐに終わらせます」  翔也とばったり会ってから、真さんは仕事中、私にきつく当たるようになった。  元々厳しさはあったけれど、前はもう少し私に期待してくれているような言い方だったのに。  今はただイライラをぶつけているだけのような気がする。 「係長、最近なんか機嫌悪くない?」  杏が小声で私に耳打ちをする。 「仕事量多くて大変なんだよ、きっと」 「結梨とはうまくいってるみたいだし、プライベートが原因ではなさそうだからねぇ。仕事終わり毎日会ってるでしょ?」 「まぁ……」  ここ数日、仕事が終わると、いつも真さんは待っている。  私が先に上がれないくらいのたくさんの仕事を押し付けて。  そして毎日、求められる。
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!