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順応
午前零時。ようやく仕事から帰った私はどろどろに疲れ果てていた。
午前一時。家でのやるべきことを終え、ベッドに転がり込む。待ち構えていた睡魔が襲ってきた。
午前二時。私は夢の中だった。
午前三時。目が覚めた。起き出して部屋の真ん中に立ち、ベッドを見つめる。
ぐねぐねとシーツが上下を始めた。その動きが激しくなる。
あそこに寝ていたら体がとんでもないことになる。それは以前に体験済みだ。
全身痣だらけで、動くだけで呻き声が出た。そんな思いを二度としたくないと本能が告げるらしく、どんなに疲れていても、三時になると私の目は覚める。いつしかそういう体質になった。
この、何が何だかまるで判らない現象は、私が中学に上がった頃から始まった。
人に話してもどうしようもなく、霊能者とだという人達を何軒訪ねても解決策は得られなかった。
その代わりに、いつからかコレが起きる少し前に、勝手に目が覚めるようになった。
今日みたいにどれだけ疲れていても自然と目が覚める。五分くらい見ていると収まり、もうその夜には何事も起こらないから、やれやれとベッドに入る。
彼氏がいた時は悲惨だったな。それでフラれたこともあるし。
でもいつかは、理解してくれる人と巡り会いたいな。
なんてことを思っていたら、また睡魔が戻って来た。
もう十数年もこんな怪奇現象が毎日起きているっていうのに、ベッドに入ればすぐ眠れちゃう。
人間の順応力ってすごいね。
順応…完
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