第1章

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「おい」 始業のチャイムがなると同時に後ろから声をかけられる。 「何でしょうか」 仕方なく身体ごと振り向く。 上司の水城大地(みずしろだいち)。 彼氏もいないキャリアウーマンの私としてはどんなに気に入らない相手でも上司の言うことは絶対守るようにしている。 そう、気に入らない。 32歳にしてこの部署を任せられていることも、この会社で一番イケメンだと言われて調子にのってるところも。 確かに目にかかるかかからないかの柔らかそうな黒髪や、切れ長できりっとした瞳、スーツを着てすらっとしたスタイルは誰が見てもかっこいいだろう。 でも処女をこじらせている私にはモテ男は警戒の対象でしかない。
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