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「いやいやいや」
あれ? こんなフレンドリーにくるものなのだろうか? いやおかしい。
「あんた、ランク1のカレン・テイラーだよな? それだけのためにこんなヘンピなとこに来たっていうのか?」
「ヘンピなとこ? そんなこと言うなよ。静かでいいところだね、ここは」
ランク1との出会いは、全くもって拍子の抜けたものだった。
「あんた、イメージと違いすぎるぞ。カラードの上位は皆してそんな感じなのか?」
「貴方こそ今まで私たちにどんなイメージを持っていたんだ。確かに堅苦しい奴もいるけどね、基本的には皆同じ人間なんだから、人それぞれだよ、性格なんて」
カラードの上位の人間は企業の政治屋みたいな思想を持った奴らばっかりだと思っていたが、どうも違うらしい。先入観とは恐ろしいものだ。
「……まあ、そうか」
「納得してくれたかい?」
これには少し俺の偏見を正さなければいけないようだった。
「それで、どうして俺なんだ。もっとランクの高い奴と組めばいいじゃないか」
「貴方がランク以上の評価を受けているからじゃないのかな? 私には難しいことはわからないけど。ほら、カラードって……独立傭兵にはいろいろ厳しいだろ?」
なるほど。企業の政治のあれこれか。俺がこの世で最も嫌いなものか。
「任務の内容は?」
「いずれオペレーターさんから説明を受けると思うけど、まあいいか。依頼はインテリオル社からね。内容は、GA社の量産型アームズフォート『ランドクラブ』の破壊」
「随分とタイムリーだな。ちょうどその新聞記事を見てたんだよ」
俺はデニスの隠れている新聞を取り上げてカレンに見せる。
「そう。以前から話題にはなってたんだよね。いよいよ私達にも仕事がきたってこと」
「でも、それだけじゃランク1が選ばれる仕事にはならないな」
「鋭いね」
そう言ってカレンは俺たちの席、空いている椅子に座る。
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