第1章

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俺は神の領域に触れるのだ。 『アーマードコア・ネクスト』。 既存のノーマルACとは明らかに違うハードウェアである。 脳内から直接指示を出すことで、より直感的に搭乗機を操作できる。 操縦桿を握らないので、コックピットはごくごくシンプルなものだ。頭部に取り付けるマスクのようなものが上からぶら下がっているだけ。マスクを装着するとコックピットはたちまちゲル状の緩衝材で満たされる。それによりここまでの高速移動でも衝撃に耐えることができる。 そして近年発見された次世代のエネルギー。それが爆発的な瞬間移動を可能にしている。話によるとそれが最近の大気汚染を深刻化させているとか、搭乗者自身にも負担がかかるとか言われているらしい。 ガトリングの銃口が、やっとこちらを向きなおす。 遅すぎる。再び例の瞬間移動。この界隈ではこの瞬間移動のことを『クイックブースト』という。 これにより一気に彼我の距離を詰める。ガトリングの銃口が火を吹く前にこちらはライフルを構える。 これもただのライフルではない。こちら側用にあつらえた超火力ライフルである。普通のACならば扱うことも難しい大口径のライフルがノーマル共に風穴を開けていく。 まさに圧倒的な戦力差。 搭乗者のポテンシャルだけではどうにも埋められない差があった。 「ここも俺の死に場所にはならないか……」 「敵戦力、およそ半数」 「さっさと片付けよう」 残りのノーマル部隊からは少しばかりの距離があった。
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