第1章

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上空からは無数のミサイルが飛来する。それらは相手にする価値などない。 背部の大型ブースターを起動する。一点に光が集中し、即座に拡散する。すると機体は途端に高加速を始める。 『オーバードブースト』。最大速度は時速千キロを超え、その瞬間、俺は自分と世界との別離を感じる。一瞬、自分と今そこにある空間が切り取られ、加速が終わる頃には、まるで今までの空間がなかったかのように目的地へとたどり着く。 ノーマル部隊は武器さえも構えられていない。俺は左腕のレーザーブレードを展開する。 高出力のレーザーブレードにかかれば、ノーマル程度の装甲など紙切れに等しい。 薙ぎはらう。蹂躙する。この力はまさに神そのものだ。 ノーマルが残り一機になる。ゆっくりと距離を詰める。 半ば諦めのように敵はガトリングを構える。 俺は距離を詰めることをやめない。さらにライフルを構える。 ガトリングがけたたましく鳴り響く。しかしその弾丸は俺には届かない。 『プライマルアーマー』と呼ばれる次世代エネルギーのバリアが機体を包み込み、弾丸が機体に届く前に消滅される。 銃声が止まる。相手の声を聞かなくてもわかる。これは諦めだ。怯えだ。 ライフルを構える。相手は動こうとしないのか、動くことができないのか、その場から停止している。 人は使命を果たした時にその命を散らす。では彼等の使命とは? そんなことは知る由もない。ライフルが叫び声をあげる。 「ミッション完了です。お疲れ様、帰還してください」 オペレーターの声で俺は自分を取り戻す。神の領域から抜け出す。 俺が使命を果たす時はいつになるだろうか。
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