第2章

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「クレイドルの体制を望まない奴らが出てくる。クレイドル一機に収容できる人数なんてごく僅かだ。どうせ企業の政治屋や金持ちが入るんだろ。じゃあクレイドルに入らない人間はどうなる? 今と同じように地上のコロニーで汚染されながら暮らすんだ。テロくらい起きても不思議じゃないね」 「なるほど……ヘクト、お前さ」 「なんだよ」 「傭兵より政治屋の方が向いてるんじゃないのか?」 デニスはそう言って笑い出した。不愉快だった。政治屋なんてクソ野郎しかいない。 「ああ、そういえば。いずれ俺たちにも来るといえばな……」 デニスはパラパラと新聞をめくる。 めくる音が途絶えた。そこに広げられていた一面には、大迫力で映る建造物。否、これは兵器だ。 「GA社、アームズフォート『ランドクラブ』の量産化に成功……。今後は各拠点に配備される予定……」 「いよいよ俺たちも職にあぶれるか?」 リンクスにはネクストに乗るための素質が必要になる。神経と機械とを直接接続することによる肉体的、精神的なリスクは大きい。 そのリスクに耐えられない者は、後に肉体の麻痺障害が残ったり、視覚や言語障害が起きてしまう。 要は、どれだけ機械と相性がいいかなのだ。これは訓練ではどうにもならない、天性の才能だと言われている。企業間のパワーバランスを一個人の才能に委ねてしまうのは以前から問題となっていた。 『アームズフォート』と呼ばれる巨大な移動要塞。大多数の人間によって制御されることで、ネクストよりも安定した戦力を供給できるということで話題にはなっていたのだ。 しかし、前まではアームズフォートの量産化などは到底先の話だと思われていた。要塞と言われるだけの巨大な建造物である。生産コストがアーマードコアの比ではなく、量産には向かなかった。 今回発表された『ランドクラブ』は従来のアームズフォートよりもサイズを大幅に小さくし、コスト削減に努めたらしいが……。 「俺たちが職にあぶれることはないさ。これくらい、すぐに破壊任務が来る。それよりも問題なのは……」 「企業のフラッグシップアームズフォートだな」
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