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「信じたか?」
「う、うん。……も、もう一回していい?」
「いちいち許可取らなくていい」
「ん、うん」
おそるおそるといった感じで唇が触れてくる。
唇の表面が触れ合うだけの、優しいキスだった。
目を開けると、俺を見下ろしている小太郎と視線が合う。
優しい目が、妙に照れ臭い。
「そろそろ降りろよ。重い」
「ん…もうちょっと」
そう言って俺の首筋に顔を寄せてくる。
「ちょ、お前どこに手入れてるんだよ」
いつの間にかシャツの下に手が入り込んできてる。
身をよじった瞬間、ゴリ、と硬い物が腹に当たった。
視線を下ろしてみると、俺を跨いでいる小太郎の足の間。
見事にモッコリしていた。
どがっ、ガスッ、ゴっ!!!!
小太郎が地面に伸びた。
もう動けないと思ったのに、その気になれば動くもんだな。
しみじみ思って土を払い、ふと気づいた。
「あ、俺勝ったから勝負チャラだな」
「ぇええええぇえええっ!!!」
ガバッとゾンビよろしく小太郎が復活する。
それを無視して、俺は上着やら鞄やらを拾い上げた。
背後からは小太郎の泣きそうな声。
馬鹿だな。
負けたからじゃなくてお前が好きだからだって言ったのに。
「帰るぞ。この格好じゃ家に帰れないから、泊めろ。お前ン家、まだまだおじさんもおばさんも帰ってこないだろ」
「ぅー…」
ぐずる小太郎の手を引く。
「風呂も貸せ。んで手当てして、続きはそれからな」
「え?」
「手加減しろよ。こっちは慣れてない上に、怪我人だからな」
「!!」
その時の小太郎の顔ときたら。
最高に笑えて、そして愛しかった。
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