プロローグ

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隣の家に住む日吉 小太郎とは、物心がつくかつかないかの頃からの付き合いだ。 いわゆる、幼なじみ。 幼い頃の小太郎は、いつも誰かに苛められていた。 小太郎という名の通り、チビで、そしてすぐに泣くから。 男のくせに女みたいに可愛い顔をしていたのも、原因の一つかもしれない。 そして俺はといえば、小太郎を苛める奴らを苛めるのが大好きな暴れん坊だった。 大人しい奴をぶちのめしたって、何も面白くない。 イキのいい奴じゃないと。 自信満々だったり偉そうだったりした顔が泣きベソになると、もう楽しくて楽しくてたまらない。 結果、いつも俺が小太郎を助ける形になっていた。 『ありがと、冬夜、大好き!』 『お前の今日のオヤツ、全部俺によこせよ』 ボランティアでやってるわけでも、親切でやってるわけでもないから、毎度きっちり代価は請求した。 それでも、頭の足りない小太郎は無邪気に「大好き」と繰り返して俺にくっついてきた。 俺はそんな素直さを持っていないから、たまに「可愛い」と思うこともあったりして。 そこそこ、良好な関係の幼なじみだった。
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