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そして現在。
俺達は高校生になった。
「…お前、今度は誰に殴られたんだ」
「えっと……たぶん、1回Hした子………かな?」
なんでそんな曖昧なんだよ。
セックスまでしたってのに、全然記憶してないのか、そのカスカス頭は。
そう思うが、毎度のことなのでもう突っ込む気にもなれない。
「…何で殴られたんだ」
「知らない。屋上でHしてたら、いきなり乗り込んできて殴られた」
「…………」
そりゃ殴られて当然だろう。
見事なまでの修羅場だ。
「ああ、そう。そりゃ大変だったな」
もうそれ以上は聞く気にならなくて、俺は席を立った。
今は放課後。
もうクラスメートもほとんど帰って、残っているのは俺達くらいだ。
「俺、帰るわ」
「あ、俺も、俺も帰る」
「ついてくんな。今、お前と一緒にいると俺まで巻き添え食らいそうで迷惑」
立ち上がった小太郎の背は、名前を裏切って180を超える長身に。
女のようだった顔は、男らしくも色気のある華やかな顔立ちに。
…今は右頬が真っ赤になっているが。
泣き虫で苛められっ子だった幼なじみは、性欲だだ漏れのいけすかない色男へと変わり果てた。
「やだ、冬夜と一緒に帰る」
変わらないのは、鬱陶しいまでにくっつこうとする所、それからカスカスの脳みそ。
それぐらいだった。
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