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「お客様すいません、これ、奥にまわしてもらっちゃっても良いですか?」
「お、ほいほーい。はい、じゃこれ、よろしく」
「あ、すいません、はい、これ」
「はい、ミーナ、これね」
その人が席に着くなりお皿リレーが始まって、みんながあわただしく動き始めたので、あたしはその隙にサっと後ろを向いて、誰にも気づかれないように涙を拭いた。
「はい、海ぶどうでございまーす」
「わ、美味しそう♪海ぶどう、キレイ♪♪」
(えーあの人がユウキ君の先輩なんだ!)
「次、スクガラスでーす」
(そっ。かっこいいでしょ?)
「え!なにこれ、かわいい♪お魚、ちっちゃい♪♪」
美味しそうな料理が、10人の目の前にどんどん並んでいく。
「はい、ソーメンチャンプルーとゴーヤーチャンプルーでーす」
「どんどんまわしてね!」
(すげぇ日焼けしてんな!何かスポーツやってる人?体育会系??)
「あ、すいません、オレ、ウーロン茶もらえますか?」
(サーファーなんだよね)
「あ、はい。ただ今すぐお持ちします!」
(え、ていうか何歳??かなり年上??)
「おー!やっと来た来た!!うまそ☆」
(てか、超イイ感じ!ヤバいかもー!!)
「あ、ひょっとしてみんな、かなり待たせちゃってた??」
ラフテー男の『やっと来た』という言葉を、自分の事と思ったのか、その人が申し訳なさそうに訊くと、ユウキ君と他の男子は、合わせたように首をブンブンと左右に振った。
「いえいえ、とりあえず乾杯して、ざっと自己紹介終わったとこです。ちょうどグッドタイミングでした。・・・あ、さっきちょっと話したオレの先輩で、野川 竹流さん」
「あ、タケルです。遅刻しちゃってホントごめん!今日は松野からの突然のお呼ばれで、ま、代役ってことでお手柔らかによろしくー」
タケルさんという人は、あっさりとした自己紹介をして、ゆるい笑顔を浮かべた。
すると、内気なはずのさったんが、目を輝かせながら手を上げた。
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