サーファー

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「あ?はーい♪佐藤友里恵と申しまーす♪友里恵なのでゆりえでーす!次、ミーナちゃん、はい☆」 ゆりえちゃんはおどけた調子で、あたしの口真似をすると、ポンっ!とミーナちゃんの肩を叩いた。するとそれに続いてミーナちゃんも、他のみんなも、あたしをからかうように真似をした。 「あ、はーい。上田美奈代でーす!美奈代なのでミーナでーす♪次、さったん、はい」 「あ、はーい!古川サチでぇーす。サチなのでぇ、さったんでーすぅー♪  次ゎレナたん、はい♪♪」 「はーい、前田レナでーす!次、ユウキ君飛ばして隼人君、はい!!」 そして最後にレナちゃんが右手を挙げて、隼人君にハイタッチを求める。 隼人君は慌てながらも右手を上げて、レナちゃんとパチンッ!と手のひらを合わせた。 「隼人でーす」 「シュンでーす」 「卓也でーす」 「ウーロン茶でーす」 まるで合わせたようなグッドタイミングで、タケルさんの飲み物が運ばれてきたので、みんながまたどっと笑った。 この時あたしは、この合コンに来て初めてみんなと一緒に笑うことができた。 みんなが、たどたどしいあたしの自己紹介に合わせてくれたのも嬉しかった。 なんだかようやく、仲間にしてもらえたような気がしたのだ。あたしはずっと、初対面のミーナちゃんやさったんや、男子達だけでなく、レナちゃんや、ゆりえちゃんにさえ、自分で壁を作って冷やかに観察し、打ち解けようとしなかった。 そんなあたしの事なんて、誰も気に掛けてくれなくて当然だと思う。 ブスの壁を、いちいち越えてやって来る物好きはいない。 でも、ブスにだって存在価値はあるはずだ。 聞き上手なブス。 気配り上手なブス。 引き立て上手なブス。 なんだって良い。 とにかくあたしは今、このタケルさんて人に『感じの悪い暗いブス』と思われたくなかった。 そしてその時、あたしの頭にとっさに閃いたのは…… 『居ても良いブス』 どういう定義かよくわからないけど、とにかくあたしは一人大きくうなずくと、目の前のウコンサワーのグラスを握りしめ、一気に飲み干した。 酒の力も借りれば、このくらいはできるはず!
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