サーファー

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「お、アヒルちゃん、良い飲みっぷりだね?!!」 「うふっ!キンチョ?してノド乾いちゃったみたい」 さっきまでうっとうしくて仕方なかったラフテー男だったけど、 早速アヒルちゃんと名前で呼んでくれたので、ちょっと嬉しくなって引きつり笑いを返してみる。 「次、何飲む?」 と、ラフテーがドリンクメニューを差し出してきたので、あたしはそれを受け取らないで、テーブルに両手で頬杖をついて、そのまま前に乗り出すようにメニューを見た。 それは、あたしの唯一の自慢である『キレイなおっぱいが正しくチラ見えするポーズ』だった。 その瞬間、ラフテー男ががハッ!と息をのむ音が聞こえ、急にソワソワとし始めたのが、顔を見なくても気配で分かった。 「何にしよっかなぁー」 堀ゴタツの下で、脚をモゾモゾとさせるラフテー。 あまりにも即効性があったので、あたしは可笑しくて笑いだしそうだった。 そしてさっき飲み干したウコンサワーのせいもあってか、一気に気分が高揚してきた。 じゃあ、ここでもう一つ、ラフテー男で試してみちゃお。 あたしは、こめかみにキュッと力を入れて、下がり眉を下がるだけ下げて、小さい目を極限まで見開き、意図的な困り顔を作った。そして、 「いろいろあって迷っちゃう?☆」 と言いながら、ラフテー男を上目づかいに見上げてみた。 「キモい」 というお声も今まで多数いただいた、この『困り顔』ではありますが、 一部のマニアックな男の、どこかしらに触れることがあるようで、あたしの数少ない切り札の一つとして持っている。 失敗すると、広いおデコに深いシワが横に2本入るのがタマに傷……。 しかしラフテー男は、そんなあたしのビミョーな困り顔には気づきもせず、ただ一点!ジッと胸の谷間だけを見続けていた。  ガッカリ。せっかく数少ないお披露目の場だったのにー。 ふと、違う視線を感じて反射的に目をやると、タケルさんがあたしのその顔を、ラフテー男よりも食い入るように、大きな目を見開いてジッと凝視していた。
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