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それはまるで『珍しい生き物を見つけてしまった』という驚愕の表情で、間違いなく作戦の失敗を意味していた。
その証拠に、あたしと目が合うと、タケルさんは慌てたようにその目をそらして、隣のゆりえちゃんに話しかけた。
「ゆりえちゃんはどこに住んでるの?」
「え、アタシですか??アタシ行徳なんです」
「行徳かー。オレの海友が何人か住んでるから、行徳はたまに行くよ」
「えーそうなんですかー?じゃあ、南行のギョーザの超美味しい店、知ってますぅ?」
タケルさんに話かけられて、ゆりえちゃんは嬉しそうにタケルさんの方に身を乗り出した。
あぁ、よりによってなんでこの人は、あたしのオッパイじゃなくて顔を見ていたんだろうか。
あたしは思わず、目の前にあったラフテー男のグラスを引っ掴むと、ゴクッと一口飲んだ。
「あ、それおれの……」
「これにする。あたしコレと同じのもう一杯!」
あたしはよく味もわからないまま、やけくそ気味にそう言った。
「まじ?これ泡盛40度もあるぜ??アヒルちゃん、お酒強いんだねー。 じゃ、おれももう一杯いっちゃおうかな。すんませーん、オーダーお願いしまーす!」
ラフテーは、あたしが自分のグラスに口を付けたことに対してニヤニヤすると、大きな声でお店のお兄さんに声をかけた。
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