1人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺達もナマ、もういっちょね?!」
レナちゃんとユウキ君も、空になったジョッキを手に催促する。
お兄さんはイソイソとやってきて、今度は手際良くオーダーを書き留めると、両手で空いたグラスやジョッキをひとまとめにして、またイソイソと去って行った。
そんな中、ふとシュン君がタケルさんのほうを見て、不思議そうに言った。
「ところでタケルさん、酒飲めないんすか?」
「あ、そう言えばそう!」
「ウーロン茶とか聞こえた気がするー!」
タケルさんの前の、薄茶色の飲み物にみんなの視線が集中する。
タケルさんは一瞬、バレたか!という顔をすると、両手でグラスを隠して気まずそうに笑った。
「あーいや実はこの後、ちょっと出かけるんで、車で来ちゃったんだよね?ハハハ!」
「え!?マジすかぁー!?それ、聞いてないっすよぉ!!タケルさん飲まなきゃつまんないじゃないすかー」
ユウキ君の責めるような口調に、タケルさんは悪びれて舌をペロッと出した。
「……まさかこれから海ってんじゃないっすよねぇ??」
「はい、ユウキ、ビンゴーーーーーーー☆」
ユウキ君の追及に、タケルさんはおどけて答えた。
あきれて絶句するユウキ君の横から、さったんが無邪気にはしゃぐ。
「いいなぁーいいなぁー♪海、良いなぁー!!わたしもいきたぁーい♪」
「ハハハーーー!海は良いぞぉー」
それに対して、はぐらかすようにあいまいな答えを返すタケルさん。
「あ。私もいきたーい!」「オレも行きたい!!」「ボクもボクも!」「じゃあ、みんなでタケルさんにこれから連れてってもらおっか!?」「お、それいいね?!」 「え、ちょっと待った」
「オレ、マジでサーフィンやってみたいなと思ってたんだよね?!」「おれもおれも!やっぱカッコ良くなりてー!!!
「や、ちょっと待て」
話の急展開にちょっと慌てるタケルさん。
最初のコメントを投稿しよう!