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「あーもぅ今日はランチタイム、ダラダラ忙しくってやんなっちゃった!」
「お疲れサマ。あと、あたしがやっとくから、もう上がっちゃって大丈夫だよ」
「さんきゅ、アヒル。んーーなんか甘いもン飲みたぁ!!カフェラテ入れちゃおうかなぁ」
あたしは、西新宿の高層ビルの、地下一階にあるコーヒーショップでバイトしている。
いわゆるチェーン店で、どこの街に行っても一つくらいはあるような、ごくありふれたコーヒーショップ。
お客さんは、ほとんどがこの高層ビルで働いているサラリーマンやOLさん。
飲み物の他に、ホットドッグやサンドイッチなんかはあるんだけど、どれも値段のわりに小さくて、しかもお世辞にも美味しいと言えるモンではないので、お昼ごはん目当てで来る人はあんまりいない。
他の店でランチを食べて、ちょこっとコーヒーだけ飲んで一服したいサラリーマンとか、たまに都会に住むヒマそうなおじいちゃんとかが来るくらい。
営業時間は、朝の7時から夜の9時までだけど、どの時間帯もお客さんが少ない。
ようするに、流行ってない。
でもお店は、ガラス張りの小さな中庭に面していて、一階と二階から太陽の光がたっぷりと入るように造ってあるみたいで、地下とは言っても明るくて、なんだかホッとできるスペースだとあたしは思う。
ジャングルみたいにテンコ盛りに植えられた観葉植物に、晴れた日は光がさんさんと降り注いで、葉っぱも多分気持ち良いんじゃないかな。
茂みの奥からはひょっこりとゴリラがこちらを覗いているのが見えます。
なーんて言っても過言ではないような、ちょっとしたガラスの熱帯植物園なのだ。
お客さんたちもボーっと、その異空間を眺めることで、都会の寂しさや仕事のストレスを、ちょっとの間、忘れているのかもしれない。
そうだとしたら、ヒマっていうのは、彼らにとって良い店の条件の一つなのかもね。
「ねぇ、アヒル、明後日バイト休みだよね?」
あたしがカウンターのミルクやスティックシュガーを補充していると、 従業員ロッカーで私服に着替えて来たレナちゃんが、カフェラテをトレーに載せてやってきた。
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