ありふれたコーヒーショップ

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パステルピンクとライトグレーの、太いボーダー柄のゆったりしたカットソーに、淡い水色にブリーチされたデニムのショートパンツ。 そして手にしたトレーのカフェラテには、白い生クリームが巻きグソのようにネリネリと盛られていて驚いた。  ……ちょっと、それやり過ぎでしょ?? と、言いたくなるくらいこんもりと。 でも言わないけど! 「う、うん、明後日は休みだけど……何で?」 「B2にサンクチュアリって飲み屋あるじゃん? そこの男子と5:5で飲む予定なんだけど、一人女子が都合つかなくなっちゃってさ、 良かったらあんた行かない?」 「うーん、、、いいよ別に……」 「あー良かったぁ!絶対人数合わせろって言われたから助かるぅ。いつもピンチヒッターありがとね!」 無邪気に言うレナちゃん。 そう、あたしはいつもピンチヒッター。 最初にお声が掛かることは絶対ない。 けど、飲み会ってわりとドタキャンするコ多いから、 多分あたしって合コン出席してる回数かなり多いと思う。 それに引き立て役としてはかなりポイント高いし。 なのでブスの割には忙しいのだ。 「じゃあ、詳細あとでメールするね!お疲れ様」 「うん、ありがと。おつかれさん……」 それだけ言うとレナちゃんは、ガラスのジャングルが一番良く見える特等席に座って、すらりとした長い足を堂々と組んだ。 「ちょっと、アヒルちゃん!早く洗い場やって。カップ足りなくなっちゃうから!!」 顔色の悪い、ヒゲが濃くて髪の薄い店長が、オカマちっくにあたしを呼ぶ。 どうせレナちゃんには何も言えないクセに。 「はーい、、、」 つーか、足りなくなるほど忙しくないじゃんか!? ……ま、あたしだってソレ、店長には言えないクセにね!   あーぁ。あたしは、あたしの役割をこなすしかない。 あたしはアヒル。 白鳥になりたいなんて言わない。 けど、変わりたい。   この生活を変えたい……。
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