気乗りしない合コン

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ちょうどその時、通路からゆりえちゃんが小走りにやってきたので 、その子達からの自己紹介は無いまま、5人でソニプラを後にした。 ちなみにゆりえちゃんの格好は…… 何と言って良いのか、表現の難しい柄と形のブラウスに カラーレギンス。 足元はヒールのとがった黒のスパンコール付きのパンプスで、大人っぽさをアピールしようとしてる感じだけど、一歩間違えるとオバサンぽくね? 「ねぇアヒル、靴下買っといてくれた?」 「あ、うん。3つ買っといたんだけどどれがいい?」 エスカレーターを昇りながら、あたしが袋から取り出したカバーソックス3つを素早くチェックすると、ゆりえちゃんはオールレースのを手に取った。 「これにするね」 言うが早いか、エスカレーターの上で片足ずつパンプスを脱ぐ。 そしてユラユラと危なっかしく体を揺らしてカバーソックスを履くと、地上に着く頃には何事もなかったように歩き始めた。  早ワザ…… そして金曜日の渋谷の街を、人をかき分け道玄坂を登っていく。 レナちゃんとさったんという子と、ミーナという子が三人前を固まって歩くと、 次から次へ、居酒屋の客引きのお兄さんが声をかけ、ティッシュ配りのお兄さんが踊るような足取りで、怪しげな紙片の入ったティッシュを差し出す。 それを全く無視しながら、三人は足早に坂を登り、 あたしとゆりえちゃんは無言でその後を付いていく。 ヒールがゆらゆらして、ゆりえちゃんは歩きにくそう。 始まる前から不機嫌な顔をしている。 「あ、いたいた!松野くぅーん!!」 突然、レナちゃんがトーンの高い声をあげ、片手を大きく振り始めた。 『ゆがふ』と書かれた木の看板の前に、男の子数人が見えて、 そのうちの一人がこっちに向かって手を振り返した。 レナちゃんが、ウェッジソールのサンダルでガコガコと走り寄る。 微妙な距離と逆光で、まだお互いがどんな感じなのかは確認できない。 緊張が一気に高まる。 これぞ合コンの醍醐味!? さあ、いよいよ、ご対メーン!!
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