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この男を始めて見た瞬間、出会ったと、確信を得た。
この男が狂気を向ける先であり、そして自分の運命を動かす相手であると。
自分の体に呪詛を仕込み、この呪いのかかった桜の苗床になった姫が狂うほどに想い焦がれた男であり、呪いを大就させるために生み出された自分と言う存在もまた、この男に狂わされるのであろうと。
「お前の狂気は俺へは通じんよ。
俺は、それらを払うことを生業としているのだから」
だから、と、男は瞳に力を込めた。
その強さにゾクリと、女の中の何かが震える。
「だからお前がここに留まる必要はない。
俺の元へ連れて行く」
「そなたの式として、か」
「まぁ、そうなるかな」
出会ってしまったのだ。
いずれこの男の言葉通りにここを離れることになると、女もうっすらと理解している。
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