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『ノア。お前には、その竜達をここへ導いてもらいたい。ドラゴンの私達にはできないんだ。』
ノアは人間で良かったなんて今まで1回も思ったことなどないけれど、初めて良かったと思えた。
『…うん。』
『そこでお前には、コレを渡しておく。』
フリューが口に咥えてこちらに持ってきた袋を受け取る。
中に入っていたのは、短剣、液体の入った瓶、ドラゴンの眼のように赤く輝く不思議な色の石が付いたネックレス。
『…これは…?』
『その短剣は、竜を見つけたときや戦いのとにに使え。』
『どうやって使うんだ?』
『お前の魔力で竜をこの島へ飛ばしたり、魔力量の調整が出来る。お前の魔力は普通の人間と比べ、かなり多いからな。』
「………」
ノアはそうなのか、と納得した。
『その便の中身は、お前にもわかる』
そう言われて、瓶の蓋を開けてみる。その瞬間香るのは、強い刺激臭。
『フリュー!!これあれじゃん!カジュの樹から取れる万能薬!臭いがきついから言ってくれればいいのに!』
ちゃっかりフリューは、自分に臭いがこないように翼で扇いでいる。
ノアはそんなフリューのことを軽く殴って蓋を閉めた。
しばらくして。
臭いが落ち着いてきたところで、ノアはフリューにネックレスのことを聞く。
『それは転移石。こちらにいつでもこれるし、会話もできる。』
『っ!ありがとうフリュー!』
肌身離さず持ってる!というノアの頭に手を置くフリュー。
『いや、お礼を言うのはこちらだ。』
目の前で輝くフリューの爪に手を合わせ、ノアは綺麗に微笑んだ。
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