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階段を上ってくる音がする。
重く、間隔が不揃いな足音は、間違いなくラクスのもの。
ベッドから立ち上がり、準備をする。
といっても万鞄に必要なものをいれ、腰に付けるだけだ。
_____ガチャ
「ノア、準備しろ……って、もう終わってんのか。」
準備万端の俺を見て、若干顔を引きつらせつつ諦めたように言うラクス。
いい加減慣れて欲しい。
「うっし、じゃあ行くか。ちゃんと後ろついて来いよ」
そういってスタスタ歩くラクス。
それを小走りで追いかけた。
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ついたのは小さな部屋。中には台が置いてあり、中央に計測機らしい電子プレートが乗っている。
「ここに手をかざして魔力を流す。そーすれば測れるから……って魔力流したことないか?」
その問いに頷く。
今までなんとなくで魔法を使っていた。
フリューだって魔力がどうのこうのと一々説明することもなかった。
「こう……流れろって感じでイケる。」
雑すぎる説明に首を傾げつつ、プレートに手をかざすが
「…………」
「……〈よくわからない〉」
なにも変化はない。
ラクスは何かを考え込んでいる。
とその静寂を打ち破るように、ドアが大きな音を立てて開く。
「マスター!」
「……んぁ?」
マスター?
部屋に飛び込んできたのは、水色の長い髪の綺麗な女性。
優しそうな目元と対照的に声は尖っている。
「ドラゴンの群れが北の森に現れました!人間を襲う恐れがあるので直ちに討伐するように、との王命です!」
「はぁ!?ドラゴンの群れ!?」
〈ドラゴン〉の言葉にパッと顔を向ける。
これが、ドラゴンの討伐依頼なのか…?
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