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『鬼ごっこしたい?』
『したい!』
『のあがおに!』
『のああそぼ!』
ノアが聞くと、嬉しそうに返す子竜達。
ノアは食べ終わっていない木の実を、フリューからもらった鞄の中に入れる。
そして鞄から取り出した瓶に酒を入れ、それも鞄にしまった。
どこで手に入れたのかは知らないが、魔法がかかっているのか何でも入ってしまうので〈万鞄-よろずかばん-〉とよんでいる。
人の世界では昔、様々なものの総称が万だったからだ。
『っし!遊ぶか!』
わぁい!とよろこぶ子竜達は上空を旋回している。
ノアは目を瞑り、背中に力を集めるように集中し………
『のあかっこい~!』
『すごい!』
目を開けたときには、背中に黒い翼が生えていた。フリューに教わった魔法だ。
数回上下に動かしただけで、大きな音と風が巻き上がる。
そしてゆっくりと浮上した。
『よし、いくぞ!』
『『『きゃー!!』』』
ノアが声をかけると嬉しそうな声と共に、もの凄いスピードで飛んでいく子竜達。それをノアは追いかける。
まずはロンから。
氷竜のロンは、後ろを飛ぶと凍りそうなほど寒い。そして、ドラゴンの魔法で空気中の水蒸気を固めて飛ばしたり、氷のブレスを吐いたりする。
『ローン!まずはお前からだ!』
『のあ、はやいよー!』
グングンスピードを上げ、ロンに迫る。近づくほどに凍えるほど寒いが、フリューから教わった魔法でそれを無効にする。
空気中の氷の塊や、ブレスをうまく避けながらロンの背中に飛び乗ろうとする。
が、朝もやっただけに、それはうまく避けられて右側から氷の塊をぶつけられる。
その衝撃にフラついたところに、氷のブレスがやってくる。それを旋回するように避け、ロンの右下を狙って魔法を展開する。
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