平穏

6/11
前へ
/31ページ
次へ
『捕縛魔法、グレイプニル』 『わぁ!またかぁ!』 展開した魔法陣から輝く紐が伸び、ロンに絡みつく。一瞬反応が遅れたロンは、右翼と尻尾、右足を紐に縛られた。 『はい、捕まえた』 『うぅー…のあつよいよー』 『ロンはブレス吐いた後に少し動きが止まるから、それは直したほうがいいな。』 パキンと言う割れるような音ともに、グレイプニルが消える。 さすが竜。フェンリルを繋いだと言われる神器、グレイプニルを千切るか……。 『わかったー!』 ロンは元気よく返事をして飛んで行った。 『よし、次は………』 耳を澄ませると、ロンの向かった方とは反対側で羽ばたく音がする。 これは……ランか? リンはもっと豪快に飛んでいるから、恐らくランだろう。 雷竜のランは遠距離からの攻撃ができる。電撃を飛ばしたり雷を落としたり、電撃のブレスも吐ける。 ロンとは異なり近くに近づいても何もないが、身体を帯電させることができるため厄介だ。 グレイプニルは使えない。 そんな事を考えているとパチッという音と共に、電撃が飛んでくる。 『っ…』 慌てて避けるも左翼を掠めた。 それだけでビリッと大きな電流が体を走る。 遠くでクスクス笑う、ランの声が聞こえた。 『…ラーン!!』 『きゃー!』 ランは高い山の向こう側、ちょうどノアから見えないところにいた。 すぐにそこへ飛んでいく。 途中でいくつもの電撃が飛んでくるが、スピードを緩めずに避けていく。 避けきれない電流は全て、フリューから教わった防御壁を作る魔法で防ぐ。 『のあはやすぎ!』 『ふふふー、だろー?』 そうしてグレイプニルではない捕縛魔法を展開。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加