第2章

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「まぁ、でも、正人、可哀相っちゃ可哀相よね」清音はやっと笑いを抑え、まともに話せるようになった。 「けど、クッ…あたしだってカンニング疑われて先生に呼び出しくらったし」瑠璃子も笑いを止めようとしつつ言った。 「へ?そうなんだ。してないんでしょ?」 「当たり前だろ!そんなせこい事するかよ」瑠璃子は一気に笑いがとまったようだ。  ん…そうだろうな。るぅは嘘とか嫌いだったし、いつもそのまんまでせこさなんて全くなかったもんな。るぅのそういう所は結構好きだった。変わってないんだ。 「けど、まぁ、疑われるのもわからないでもないな。いつも下から数えた方が早い点数だしなー」瑠璃子は肩をすくめつつ舌をチラッと出した。 「点数、良すぎた?」 「どんな頑張ったってとれっこない点数だったな」瑠璃子はニヤッとした。 「で、石の話、したの?」 「いや。信じて貰えないだろうし。逆にややこしい事になるかなーって思って、ちょっと勉強したって言った」 「ちょっと?」清音は含み笑いをした。「それ、信じて貰えた?」 「ぜーんぜん。ちょっと勉強してあの点取れたら良いだろなー。ま、珍しく勉強したのと運が良かったのが重なったんだろうって事になった」 「ふーん。運ねぇ…あの理科のテスト、選択式だったし、有り得なくもないか」 「ま、しっかり代償も払わされたし。正人も体育でAとれたんだし良いじゃないか」瑠璃子は少し口を尖らせた。瑠璃子は体育の床マットの実技テストで、A、B、C判定のBだったのだ。スポーツ万能の瑠璃子は余裕でAが取れるはずだった。運動はまぁ平均並みな正人はAだったらしい。 「多分、正人は『今日はなんだか知らないけど良くできた。ラッキー』くらいにしか思ってないと思うけどなぁ」清音がさらりと言った。 「なんでだよ、あたしがBだったって事は、本当ならあいつがBだったって事だろ」瑠璃子の声が少し大きくなった。 「そうだけど、正人は石の事なんて知らないんだから」 「けど、有り得ないし。途中から手の筋違ったみたいになるなんて…」瑠璃子は悔しそうだった。声も自然と小さくなっていた。 「だから、それ、石が絡んでるからなんでしょ?元々はるぅが願ったからじゃない」
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