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「そうなんだけど…さ」瑠璃子は不満を拭い去れないようだった。
「AとBが入れ替わったのと、トップクラスの成績と下から数えた方が早い成績が入れ替わったのとを比べたら、客観的に見て、絶対るぅの方が得してると思うけど」
そう聞いても瑠璃子は苦い顔つきのままだ。
「体育Cだったらたまんないでしょ?」
「ん?……まぁ、そうか」瑠璃子は体育Cを想像してみて、なんとなく納得したようだ。
「だから、その石、うまく使えばそんな悪く無いって言ってるのに」
「上手く使えない!さーやにやるよ!」瑠璃子の声がまた大きくなった。かと思うと、「って、やれないんだけど……」と、力なくボソリと呟いた。
「……いや、でもやっぱり体育Bは納得できない。理科なんてどうだって良いんだよ。体育だけはずっと良かったに。汚点だ!」瑠璃子は体育にはよほどこだわりがあるらしく、また話をぶり返した。声のトーンもかなり上がっている。
「だから、自分が願ったんでしょ」清音は呆れていた。
「だってさ…体育悪くなるなんて思ってなかったし…」瑠璃子は言い訳するようにボソボソ言っている。
「もう今更でしょ。とにかく、出よ。用は済んだし」清音は、さっきから瑠璃子の声が大きくなる度に、司書の先生がこちらに厳しい視線を送っているのが気になっていた。
清音が先に図書室を出た。瑠璃子が続いて部屋を出、扉を閉める時、隙間からさっきまで二人が使っていたパソコンに誰かが向かうのが見えた。
「ん?正人?」瑠璃子は独り言のように言った。
清音はチラッと瑠璃子を見たが、何も言わなかった。
「あいつコソコソと何やってんだ?っていうかどこに居たんだろ?まさかさっきの話聞いてなかっただろうな……」瑠璃子は清音に目をやった。
「さぁね」清音はどうでも良さそうだった。
「ま、いっか。例え話した所で、頭固い正人が見えない石の話なんて信じる訳ないだろうしさ」そう言って、瑠璃子も大して気にもとめなかった。
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