第2章

8/11
前へ
/61ページ
次へ
 そもそも石の話が全部るぅの嘘、もしくは思い込みってことは?アタックの話はバレー部員に、プリンの話はるぅのお母さんとバレー部員に確認して裏をとった。正人の点数が悪かったのもこないだの返事からして明らかだ。プリンは、本当にたまたま偶然が重なったって可能性も少ないけどある。アタックももしかしてるぅの無意識が働いて決まったって可能性もゼロでは無いのかもしれない。ただ、正人の件だけは、るぅの願が叶ったとしか思えない。るぅの方はるぅの無意識が…って考えにくいけど、百歩譲ってそうだとしても、正人にまで影響させるなんて無理。たまたま正人が解答欄ずれるなんて凡ミスした?きっちり見直すに違いない正人がそんなミスするなんて、ものすごくまれな事に違いない。代償の体育のこともあるし…。それに、何もかも全部偶然だとしても、ここまで偶然が重なるなんてそんな確率ほぼゼロとしか思えない。石が本当にあるかどうかは別として、るぅの願いが叶って、その代償を払ってるのは妄想でも思い込みでもなく事実と考える方が自然。なら、どうすれば良い?どうしたらるぅは石から解放される?  そこで行き詰ってしまい、やっぱり誰か大人の助けが要るのかな…と思い始めたところだった。でも、見えない石の話なんて一体誰が信じてくれるだろう?とも思っていた。  先生は瑠璃子と清音を交互に見て怪訝な顔をしている。丁度、瑠璃子と清音以外のこのクラスの最後の生徒、何やらもたもたと帰るしたくをしていた正人が教室を出るところだった。 「よし、るぅ、そこ座れ」先生は清音の隣の席を指差して、自分は教室の扉を閉めにいった。瑠璃子は言われたとおり清音の隣の席に座った。  先生は戻ると、二人の前の席の椅子に逆向きに座り、二人に向き合った。 「で?るぅ、悩みは何だ?」本間先生らしく、瑠璃子の目を真っ直ぐに見て、単刀直入に質問した。 「……これ」瑠璃子は左手を広げて先生に向かって差し出した。  先生は差し出された手を見て、瑠璃子に目をやった。「手、どうかしたのか?痛いとかか?」 「違う。痛くなんてない」瑠璃子は力なく左手を引っ込めて、左手を見ながら小さく溜め息をついた。 「なら、なんだ?おまえ、ばんばんアタック決めだしたと思ったら、しばらく部活休みますって、どういう事なんだ?」
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加