第3章

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 落ちない…嘘…… 「るぅ」清音は真顔で石の乗っかった左手を瑠璃子の目の前へ差し出した。 「へ?何だよ?」瑠璃子は差し出された手を見て、怪訝な顔を清音に向けた。  るぅ、見えないんだ。 「石、乗ってる、ここに」そう言いながら、清音は左手を更に突き出した。 「へっ?」瑠璃子はもう一度清音の左手を見て、清音を見て、目を見開いて叫んだ。 「ええっ!?」  あまりの大声に、近くに居た人たちが一斉に瑠璃子の方に視線を向けた。  清音は無表情で左手を差し出したままだった。 「うそだろ?」 「ほんと」清音は無表情なままだ。  瑠璃子は清音の左手に自分の手を重ねた。「ほんとになんも感じないや…どう?」そう言って清音の様子をうかがう。  清音は目の前の不思議な光景に目が釘付けになった。「手と石、重なってる…ね。るぅの言った通り」 「だろ?…あたしのが、さーやんとこ行ったって事?だよな?」瑠璃子は嬉しそうに聞いた。 「…増えたんじゃないなら」清音は淡々と言った。 「へっ」瑠璃子はもう一度自分のポケットを全部確認し、体中をはたいて、頭も叩いて、最後にもう一度自分の手を確認した。「うん。やっぱり無い!やった!」瑠璃子は本当に嬉しそうに両手を上げた。  近くに居た人たちが、また瑠璃子をちらっと見た。  冗談でしょ?まさか私の所に来るなんて…。  瑠璃子は、石から解放されたとわかり、目に見えて浮かれ出した。「それ、上手く使えば使えるって。きっと、さーやなら出来るよ」瑠璃子は満面の笑みを浮かべた。  それ、私がるぅに言った言葉だ。けど、何かムカつく。こんなの関わるんじゃなかった。代償付きで願いが叶う石なんて…要らない。 「お前ら、さっきから一体何の話してるんだよ?」2人の様子を辛抱強くずっと黙ってみていた正人が、たまりかねて不満顔で聞いた。  清音が正人に見えない石を見せ(と言っても見えないが)、一通り説明し終わると、案の定、正人はそんな話、信じられないと言う反応をした。 「ここにるぅが願ったこととか、まとめてあるから、読んでみて」清音は例のノートを正人に差し出した。  正人は不審な顔つきでノートを受け取ると開いて読み始めた。「あー!おまえ」正人は突然、瑠璃子に向かって叫んだ。「これ、おまえ……」
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