第3章

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 次の日の朝、3人は通学路の川の土手の道で一緒になった。 「さーや、何か願ってみたか?」瑠璃子は今朝も目に見えて浮かれていた。軽やかな足取りで、笑顔でたずねた。 「願ってないけど」清音は瑠璃子の浮かれた様子に内心イラッとしていたが、普段の受け答えとそう変化があるわけでもなく、瑠璃子は全く気付いていなかった。 「ノート、じっくり見たけど」正人が口を挟んだ。「るぅ、おまえ、くだらない事ばっか願ってるよなぁ。世界平和でも願ってみろっての」 「うっせ、チビ」 「誰がチビだ!」 「だって、あたしより身長低いだろ」瑠璃子は自分の方が高いのをみせつけるように、わざと正人の横に並んだ。 「清音よりは高い!」正人は出来る限り背筋を伸ばした。 「私は、女子でも低い方だし」清音はどうでも良いと思いつつ、つい口を挟んでしまった。 「おぃ、そっちダメだろ?」河原の方へ降りる道へそれて行く2人に、正人が言った。  2人は振り返った。 「こっちの方が近いし」瑠璃子が答えた。 「だって、そっちは危ないって言われてるだろ?」正人は咎め口調だった。  清音は無視して歩いて行った。 「ゴルフボールが飛んでくるってやつ?あんなの信じてんのか?さすが、『正しい人と書いて正人君』だ」瑠璃子が茶化すように言って、清音に続いて歩いて行った。 「おい」正人は一瞬躊躇したが、2人に続いた。「おまえら、いつもこっち歩いてんのか?どうすんだよ、ボール飛んで来たら」正人は対岸方向の空を気にしつつ歩いていた。カバンを頭の上にでも持って行きたいのか、カバンを持つ手が不自然にピクピクと上下に動いている。  ここは、河原も川幅もだだっ広く、対岸の河原でゴルフの練習をする人が居て、ボールが飛んできて危険だから、土手の上の道を歩くようにと学校からは言われていた。ゴルフボールが飛んできて危険だと書いた警告の看板も立っている。ただ、ほんの数分の事だが、学校へは河原の道を通った方が近道で、実際こちらを通る生徒も多かった。 「飛んでくるかよ」瑠璃子がバカらしいという風な顔をした。
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