第1章

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 清音は重ねた手を見て少し考えて言った。「るぅが触ると石の…実感、あるの?重ならないの?」 「ある。しっかりあるし、重ならない」  清音は瑠璃子の左手に重ねた手を一度離して、もう一度重ね、首をかしげた。そして手を離して尋ねた。「るぅって、幽霊とか見える人?」 「は?そんなの見えないけど。なぁ、さーや。信じてくれるか?」瑠璃子は不安と期待の入り混じったような顔で清音を見つめた。 「んーどうだろ」  清音が渋い表情でそう言うと、瑠璃子は小さく溜め息をついて肩を落とした。  瑠璃子は背中を丸めて、自分の左手をみつめた。 「でも…信じる証拠も無いけど、信じない証拠もないよね」  清音のその言葉を聞いて、瑠璃子は顔を上げた。目に光が差したように見える。 「もう少し話聞かせて」清音は冷静な口調で言った。 「聞いてくれんの?いくらでも話す!」瑠璃子は、生気を取り戻したかのように話し始めた。 「親に言っても信じて貰えなかったし…誰にも見えないみたいだし、あたしがおかしくなったのかとも思ったけど…けど、実際願いは叶うし…」 「願い叶うんだったらそれで良いじゃない。別に他人に見えなくたって」清音は何故、瑠璃子はこんなに必死で訴えてるんだろう?と、ふと思った。 「あたしも最初はそう思った。なんか良くわかんないけどラッキー♪って。でも…違った…」瑠璃子はまた少し沈んだ様子になった。  清音は少し首をかしげた。「そもそも。その…石?どうしたの?拾ったの?」 「いや、知らない間に持ってた。最初、自分の部屋で『久しぶりに招福堂のプリン食べたいなー』って独り言言ったら、ポケットの中がブーンって震えて、ほら、あの、携帯のバイブみたいな感じ。プラス、ちょっとなんか光ったみたいに感じたんだよね。なんだ?って思って、ポケットに手つっこんだら、見た事もない青い石が入ってた。なんだこれ?だよ。ほんとに。拾った覚えなんて無いしさ。で、しばらくしたら、親戚のおばさんがうち来て、招福堂のプリン持って来てくれた。そん時は、何も思わなかったんだけど、この石普通じゃなくてさ…」 「ま、私、それ見えないし。普通じゃないね」 「そう。親戚のおばさんにも母親にも見えなくて、あたしがいつもみたいにバカな事言ってふざけてると思われてさ。それに、どっかに置こうとしても、こいつ、離れない」瑠璃子は、恨めしそうに左手を見た。 「へ?」
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