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「あー、多分、そんな感じ。あたしが食べるはずだったケーキは親戚のおばちゃんが食べちゃったし。大好物のコロッケが夕食のはずだったのに、売り切れてて無しになったとか。後で食べようと思ってたポテチ横取りされたりとか。みたいな」
「ふーん。でも、ま、それっくらい良いじゃない。プリン食べられたんだし」
「まぁ、プリンの場合は良いんだけどさ…最初はプリンだけだと思ってたんだけど、そうじゃなくて……」瑠璃子は口ごもった。
「他に何願ったの?」
「んー、願ったっていうか…色々あるんだけど……ほら、こないださ、学校閉鎖あったろ?」
清音は軽くうなずいた。
「あれとか」
「は?るぅ、学校閉鎖になれって願ったの?」
「いや、『明日のテストやだなぁ、学校なくなりゃ良いのに』って…かるーく口にしただけ。そんな強く願ったつもりなかったんだけど、石光ったから焦った。どんなにドキドキしたかわかるか?学校なくなるってどうなるんだよ?飛行機落ちるとか、地震で校舎倒れるとかだったらどうしようってさ」瑠璃子はその時の焦った気持ちを思い出したのか、頭を抱えた。
「で、学校閉鎖だったんだ」瑠璃子とは対照的に清音は淡々とした口調だ。
瑠璃子は大きく首を縦に振った。
るぅの石のせいで学校閉鎖?でも、確かに、あの学校閉鎖は妙だった。突然みんなが風邪で休んで何かの集団感染の疑いもあるから学校閉鎖っていう…。で、結局みんなただの風邪っておちで。石のせいって方が納得できるかも。「学校閉鎖で良かったね」清音はそっけなく言った。
「うん、まじ良かった」
「で、その代償はなんだったの?」
「え。ああ、母親に一日、問題集やれって部屋にこもらせられた」瑠璃子は思い出したかのようにうんざりした顔になった。
「1時間毎に見に来るんだから…。テストあっても学校の方がマシだったよ。あんなの。とにかく、この石、なんとかして手放したいんだ。さーや、知恵貸してくれよ。あたしと違って頭良いだろ?」瑠璃子はすがるように清音を見た。
「へっ、確かに成績は良いけど……。それ、上手く使えばそんなに悪く無いんじゃないの?」清音はまだ瑠璃子の話を完全に信じたわけではなかったが、そう提案してみた。
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