第1章

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「え?悪い!上手くも使えない!」瑠璃子は必至に訴えた。「一番まずいのは部活。バレー。どうやったって、アタックする時、決まれって思っちまう。試合中、石ブーンって光りまくり」瑠璃子は少し沈んだように見えた。 「アタック決まるんでしょ?なら良いじゃない」仮にるぅの話が本当だとして、どうしてこんなに手放したがるんだろ? 「良くない!決まったって、その分相手にもアタック決められる。多分それが、…代償?なんだよ。お互いアタック決まりまくりな妙な試合になって…で、だから、アタック決まったって勝てるとは限らない。大体、そんなもんでアタック決まったって意味ないんだよ。バレーやる意味がない!」瑠璃子はスポーツマンらしく熱くそう語ると、悔しそうに唇を噛みしめた。  あ、これは本物だ。真っ直ぐでそのまんまーな性格のるぅにこんな演技は出来ない。それに確かに先週るぅが早く帰ってるのも見た。部活行ってないって事だ。学校は部活の為に行ってるってタイプなのに。 「わかった。信じる」清音はきっぱりと言い切った。 「ホントか?!」瑠璃子はパッと目を見開いて、清音に抱きつきそうな勢いで腰を浮かせた。  清音はとっさに後ろに避けながらうなずいた。「う、うん」 「さすが、さーやだ」瑠璃子は本当に嬉しそうな顔をしたが、抱きつきはしなかった。「あたし、信じてくれるとしたら、さーやしか居ないって思ったんだ。変人だしさ」 「誰が変人よ」一言多いっての。 「あ、いや、ごめん」瑠璃子はハハッと誤魔化すように笑った。「けど、さーやってUFOとか幽霊とか信じてるだろ?」瑠璃子は、さっき清音が読んでいた雑誌にチラッと目をやった。  表紙を見ただけで、明らかにそういう系の雑誌なのが見てとれる。 「そういうのって、肯定する決定的理由もないけど、否定する決定的理由もない。でしょ?そういう意味では五分五分」清音もチラッと雑誌に目をやって言った。 「まぁ、そうか」瑠璃子は適当に同意した。
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