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「覗き見ですか?綿貫(わたぬき)先生」
彼はそう言うと声の主の方を振り向く。その隙を見て、私は彼の腕の中から抜け出ることに成功した。
「ほら、逃げられちゃったじゃないですか」
「逃げられるようなことをするからだろう?」
口を尖らせて言う海に、起き出した老医師ー綿貫は含みのある笑みを返す。そして、そのまま私を見た。
「それにしても、碧のお姫サマがお嬢さんだったとはなぁ」
・・・
「スゴいのを選んだな」
「どういう意味ですか?」
楽しそうに話しかける綿貫医師に、海が問う。何も知らないであろう海には悪いが、私としては居心地悪いことこの上なかった。
何しろ・・・
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