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「おはよー」
オレは教室に入って、オレの真ん前の席に座る人物に声をかけた。
「りょーちんっ!」
ソイツは振り返りざまにオレの名前を呼んだ。
そう。
これがスヅ。
今朝、夢の中に出てきたスヅだ。
スヅは机の上で、必死に自由帳に何か書き込んでいたところだった。
「りょーちん、ヤバいって!
今日、1時間目、漢字の小テストやろ?!」
「へっ?!」
「何、ヨユーしとん?」
「忘れとったわあああっ」
「僕も、朝、思い出して、朝ご飯からずっと見てたん。範囲、こっからで。」
スヅは椅子を跨いで後ろ向きに座り直し、自分の教科書をオレの机の上においた。
そんなんされたら、オレ、どきっとしてしまう。
「一緒に覚えよ。はよし。(はやくしな)」
オレは急いで椅子に座って、スヅと向き合って、漢字を覚え始めた。
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