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オレは止まらなくなって一気にまくし立てた。 「ス、ス・・・、スヅのパラパラの種子はええなっ?! ちゃんとスヅに大事に埋めて育ててもらって! オレの種子はどうなるんっ?! その辺にバラまられて、 その内、勝手に根っこが生えて、 そこら中に茂って原っぱになってしまうわっ!!!」 あははははっ! スヅが大笑いした。 「りょーちん!りょーちん! それは違うわっ!」 「なにがっ?!」 「みんな、タネって言うけど、植物のタネじゃないで?!葉っぱなんか生えん! どっちかっていうと・・・、 そうじゃな・・・、 『タネ馬』の『タネ』に意味が近いんじゃないかな?大人のヒトはそういう意味で言よんで?!」 「そんなん、わかっとるわっ! じゃけど、そういう言い方されると、途端にイカガワしくなるが?! ウマの皆さんには悪いけど、ニンゲンの大人が使うと途端にイカガワしく聞こえるんじゃ!! オレの種子は違うでえっっ?! オレの種子はアイなんじゃっ!! オレのアイが、あふれて、あふれて、 こぼれ落ちてしまうんじゃっ! そんな、イカガワしい言い方されると、 オレ、どうしていいか解らん! オレ、たまらんくなって、解らんくなる!!」 スヅだけには、どうしても理解(わか)って欲しかったん。 オレのしよる(してる)こと。 オレ。スヅのこと、スキなん。 だけど、あんなん、なってしまって、謝りたいん。 イカガワしんなら、泣き出したいん。 ごめんよ、スヅ。 ごめんよ・・・。 .
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