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カチンときたのか、さーこの声がワントーンが上がった。
「なあっ?!
一緒に帰らんのん?!
りょー!りょー!りょー!りょおーっ!!」
コイツ、たまらんわっ!
「えーーーいっ!!
やかましいわっ!帰ってやるから、黙れ!
オレの名前を気安く連呼するのはヤメロっ!!」
と、荒れ狂うさーこを鎮圧したところで、ふと、横断歩道の向こうから、誰かがこちらを見ていることに気付いた。
スヅだった。
知らんオトコと歩いていた。
スヅとはちょっと前に分かれ道でバイバイしてた。
それからオレは、自販機の売り切れ状況確認したり(やけに売り切れるソーダがあるんよ。)、散歩イヌの頭撫でたり、道草してたから、ちょっと時間が経ってしまっていた。
だからきっとスヅは、一旦家に帰ってカバンを置いてから、駅まで来たんだろう。
こっちを見てるスヅは、隣の背の高いオトコと腕組みしようと、スヅから腕を絡ませているところだった。
オレを見ると、笑いながら、もう一方の手を振ってくれた。
“ナンカ、オカシイ・・・”
そう思いながらオレもちょこっと手を振った。
スヅはそれを見届けると、ツレのオトコとの話に夢中なんか、余所余所(よそよそ)しいくらいコッチを見ずに行ってしまった。
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