最終話ー水族館で

2/2
前へ
/15ページ
次へ
更に数年後...... 私は久しぶりに帰国したやっぱり未練なのかもしれない。すぐに足が向いたのは家族の待つ家じゃなくてあの水族館でした。そして、あの水槽の前まで来て、私は思わず声をあげた。 「嘘!?なんで......?」 私の声に驚いた彼が振り返り、すぐにニコリと微笑んだ。そして、まるでずっと練習していたお芝居のセリフの様に言うのだ。 「Hello, I was waiting. I do not let go this time. I run after it in what country. Because you like it」 《やあ、待っていたよ。今度は放さない。どこの国にまでも追いかけるよ。君が好きだから》 まだ少しぎこちない英語で話す彼に感極まって抱きつく私。彼はそれを優しく抱きとめてくれた。涙でいっぱいになり、言いたい事は沢山あるのに、口から出たのはただの一言だけ 「私もっ!!」 「どこまでも、二人で行こう!」 「あの日の事を偶然と語るのはあまりにも容易い。でも、僕の努力と彼女の未練、あるいは、僕の未練と彼女の思い、そういうものが一つになって起こした、必然だったんだと僕は思うんだ」 「ね......ねぇ信二!恥ずかしいからあまりみんなに話さないで!!」 「え?うーん、そうは言ってもなぁ」 僕たちは今、ある南国の島にいる。目的は当然、ウミウシの研究で、僕は今、その助手を務めている。現地の人々は皆優しいけど、若い研究員の二人組だ。どうしても馴れ初めを聞かれてしまう。だから僕はこの話を英語で話すのが一番得意になってしまったりしたんだけど、海は今もこの話を聞くと耳まで赤く染めて恥ずかしがる。 海と再会する少し前まで付き合っていた後輩の元カノとは今も仲良く文通をしているのだけど、今は海の方が彼女と手紙のやり取りの回数が増えているのだから不思議なものだ。 僕の元カノと仲のいい彼女というのも不思議な話だけど、どの国でも好かれる彼女を見ているとそれも彼女の心音の美しさからくるものなんだと信じて疑わなくなった。 僕たちは今日も手を取り合い海を越えていく。どの海も二人なら越えていける。僕たちはそう信じている。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加